70歳現役社会の実現に向けて!

query_builder 2022/04/08
労働問題編

2022年の4月から厚生年金保険法が改正されます。厚生年金は健康保険制度と共に、国民の老後の生活を金銭面でサポートする、社会保障制度の根幹をなす制度です。しかしながら高齢者に偏重した制度ではないかと若者から否定的にみられるケースも多く、この制度の財源を維持しながら、不公平感をなくすという意味では、今回の改正は評価できるものと思います。

今回の改正でもっとも影響の大きい内容が、年金制度の適用対象の拡大でしょう。当社でも問い合わせが多くなってきています。

現在は、アルバイトやパートなどの短期間労働者に対し、厚生年金保険・健康保険の加入が義務づけられているのは、「従業員501人以上規模」の企業となっています。これが、2022年10月には「従業員101人以上規模」、更に2年後の2024年10月には「従業員51人以上規模」の企業と、段階的に適用範囲が拡大されます。

更に60歳以降も働きたい高年齢者には嬉しい改定が、現在、在職老齢年金制度(低在老)は、賃金と年金受給額の合計額が「月額28万円」を超えると超過分の年金支給が停止されることになっていますが、2022年4月以降は「月額47万円」に緩和されます。したがって今後は65歳までの再雇用は、国が最も奨励してきており、高年齢者にとっては一般的な概念となってくるでしょう。  

なお、65歳以上を対象とした在職老齢年金制度(高在老)については、現行基準がすでに47万円に設定されているため、変更はありません。

また、この改正と合わせて2022年4月1日から「在職定時改定」が新設されます。 従来の制度では、退職等により厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、老齢厚生年金の額は改定されませんでした。しかし、「在職定時改定」によって、65歳以上かつ在職中の老齢厚生年金受給者を対象に、毎年10月に段階的に年金額を改定し、働きながら年金額を増額することができるようになります。これにより、年金を受給しながら働く在職受給者の経済基盤の充実が図られます。  

今回の制度改定に合わせて、お勧めしていきたいのが、「豊かな老後」の実現です。年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、現行制度では、希望すれば60歳〜70歳の間で受給開始時期を自由に決めることができます。  

今回の改正では、受給開始年齢はそのままに、受給開始時期の繰り上げ上限が70歳から75歳まで引き上げられることになりました。これによって65歳以降の年金受給額に不安を持つ方は、健康が許す限り働きつつ、将来受給する年金額を増額できるようになります。

概算ですが、65歳で夫婦同年齢、年金受給額が合算で18万円であった場合、ここでリタイアメントして年金を受給すると、どうしても年金額に不安があり、その状態のままでアルバイトをしたり、手持ち資金を増やすために高リスクの金融商品に手を出してしまうか、子供に負担を強いてしまうといった事態を招くかもしれません。

しかし、今回の法改正によって、体の元気な間は健康に留意しつつ、被保険者の範囲で働くことで、70歳時でリタイアした場合に142%年金額が増加し、更にその間60カ月の被保険者期間も増加するため、推定150%以上、すなわち27万円以上の年金月額にすることが可能となります。(上図:厚生労働省資料ご参照)老後資金に不安な高年齢者にとっても、18万円が27万円以上になると少し安心ですね。

さらに今回の改正では75歳まで繰り下げることが可能となりました。上記のケースでは34万円ほどになります。人生100歳時代には更に安心ですね。 日本人は働くことで幸福感が向上する、世界でも類をみない国民性を持っています。最近巷の損得論では、年金は出来るだけ早めにもらった方が受取総額で有利だとの論調が目立ちますが、私はそうは思いません。一般的に周囲に迷惑をかけてしまう多くのケースが金銭問題です。夫婦共に幸せかつ安心な老後を迎えるためにも、元気なうちは働き、いよいよ老いを感じ、周囲に迷惑をかけているなと感じたらリタイアメントして、その後は生活に不安の無い年金生活を送る。この方が多くの高年齢者が満たされ人生を送れるのではないかと考えています。  

今後昭和世代のリタイアメントが続きますが、失われる経験やスキルは計り知れません。今の現役世代はギリギリITも使いこなせますので、今後の高齢化社会をいかにソフトランディング化していくかも想定し、今回の法改正を上手く活用していただきたいと思います。

最後は確定拠出年金(DC:401k)の加入条件の変更です。今回の厚生年金の改正に伴って、対象年齢の引き上げ等が行われます。詳細は上記の図を参考にしていただきたいと思います。 令和以降の我が国は、「豊かで健康でしあわせな老後」を実現する国であってほしいと思います。


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