労務の寺子屋 ■育児・介護休業法の改正について(3)

query_builder 2022/09/08
寺子屋

これまで、令和3年8月号、令和4年2月号で育児・介護休業法の改正についてお知らせしてきました。 個別の周知・意向確認の義務化も始まり、いよいよ大きな変更を伴う改正も間近に迫ってきました。今回は、これまでの内容を振り返りながら、少し掘り下げた内容を取り上げてみたいと思います。


1.  育児・介護休業法の改正内容


内  容 施行日
1 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の義務化 令和4年4月1日
2 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
3出生時育児休業の新設令和4年10月1日
4育児休業の分割取得
5育児休業取得状況の公表の義務化
(従業員数 1,000 人超の企業が対象)
令和5年4月1日


2.  出生時育児休業(通称「産後パパ育休」)

申出期限:原則2週間前

2週間前での申し出では業務の引継ぎやシフトの調整等が難しい場合が考えられます。そこで、法律では出生時育児休業の申し出が円滑に行われるようにするための雇用環境整備を措置することを労使協定で定めた場合に限り、申出期限を2週間超から1か月以内とすることができます。

【雇用環境整備の措置】
a 次に掲げる措置のうち、二つ以上の措置を講じることが必要です。   
 ・雇用する労働者に対する育児休業にかかる研修の実施
 ・育児休業に関する相談体制の整備
 ・雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供
 ・雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知 
 ・育児休業申し出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分または人員の配置に係る必要な措置
b 育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の促進に関する方針を周知すること           
  *少なくとも男性の取得状況に関する「数値目標」を設定することが必要です。        
  『取得率30%』や『取得期間平均1か月以上』など
c 育児休業申し出にかかる当該労働者の意向を確認するための措置を講じたうえで、その意向を把握するための取組みを行うこと
  *意向確認自体は義務となっていますが、最初の意向確認の措置の後に、返事がないような場合は、少なくとも1回は再確認をすることが必要です。


期間

① 子の出生後8週間以内のうち、4週間以内の期間で休業できることになります。

② 出生時育児休業は、一子につき2回まで分割できることになっています。ただし、2回に分割する場合は2回分をまとめて申し出ることとし、まとめて申し出なかった場合は後の申し出を拒むことができます。


出生時育児休業の就労

① 現行制度では育児休業期間中の就労は、例外的にしか認められていませんでしたが、出生時育児休業中に就労させることができる労働者について労使協定で定めている場合に限り、その労働者からの申し出により就労させることができます。

② 休業中の就業日数等には上限があります。

 ・出生時育児休業期間中の所定労働日の半分以下で、かつ就業日の労働時間の合計は、出生時育児休業期間の所定労働時間の合計の半分以下

 ・休業開始、終了予定日を就業日とする場合は当該費の所定労働時間数未満


【具体的な手続きの流れ】
(1)労働者が休業中に就業することを希望する場合には、出所時育児休業の開始予定日の前日までに以下を申し出することが必要です。
 ・就業可能日
 ・就業可能日における就業可能な時間帯(所定労働時間内の時間帯に限る。)その他の労働条件
(2)事業主は、(1)の申し出がされたときは、次に掲げる事項を労働者に速やかに提示することが必要です。
 ・就業可能日のうち、就業させることを希望する日(就業させることを希望しない場合はその旨)
 ・就業させることを希望する日にかかる時間帯、その他の労働条件
  *この事業主の提示に対して、休業開始の予定日の前日までに労働者が同意をした範囲内で就業させることができます。
  *事業主は、上記の同意を得た場合は、同意を得た旨と就業させることとした日・時間帯、その他の労働条件を労働者に通知する必要があります。


③ 育児休業は、その期間中の労務提供の義務を消滅させる制度であることから、休業中は就業しないことが原則であり、出生時育児休業期間中の就業について、事業主から労働者に対して就業可能日等の申し出を一方的に求めることや、労働者の意に反するような取扱いを行うことはできません。休業中の就業希望を申し出なかったこと、就業日等の提示に対して同意しなかったこと等を理由として解雇その他不利益な取扱いを行うことは禁止されています。


3.  育児休業の分割取得

1歳までの育児休業

①   現行制度では、育児休業は原則として分割取得できませんでしたが、今回の改正により分割して2回までの取得が可能になります。

②   出生時育児休業制度とは異なり、2回分をまとめて申し出る必要はなく、それぞれ育児休業開始日の1か月前までに申し出ればいいことになっています。

1歳以降、または1歳半以降の育児休業

①   今回の改正により、1歳以降の育児休業を柔軟に取得できるようにすることとして、1歳または1歳半の時点で育児休業していた労働者が継続して休業するほか、1歳または1歳半の時点で育児休業してなかった配偶者も途中から替わって休業することができることになりました。また、本人と配偶者の休業期間が重複することも可能です。

②   1歳から1歳半、1歳半から2歳までの育児休業は、1歳までの育児休業のように1人の労働者が分割して取得することができず、1回しか取得できないことに変更はありません。


4.社会保険料の免除条件の変更について

10月の育児・介護休業法の改正により、育児休業取得時の社会保険料の免除条件が変更となります。この条件の変更によって、現行の条件では社会保険料が免除だったけれど新しい条件では免除にならないケースが出てきます。社会保険料控除についてお話をされる際は、お気をつけください。

      ※詳細は、令和4年5月号にてご確認ください。


5.  法改正の対応

①   育児休業規程を定められている場合は、その規程を法律に沿った内容に改定する必要があります。

②   休業中の就業を認める場合は、労使協定が必要になります。

③   上記に関しまして、当社で準備を整えています。また、これまで規程を制定されてこられなかった会社様でも、このように育児や介護による休業制度はたびたび変更されることになっていくと考えられます。育児や介護に関する助成金にチャレンジしたいとお考えの会社様も、これを機に規程を制定されることをお勧めいたしますので、担当コンサルタントまでお問い合わせください。



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