<株式会社 徳志満 代表取締役 徳島りつ子 氏>2022.07月号 掲載

企業名鑑
“「近江牛」を通して「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の三方よしの理念を追求し、 地域のみなさまの食文化に貢献します。”


会社プロフィール
会社名 株式会社徳志満










代表者氏名 代表取締役 徳島明和 / 徳島りつ子
創業 1985年11月(法人化:1995年10月)
本社所在地 滋賀県湖南市菩提寺西4丁目4-27
事業内容①近江牛の販売・卸・加工
②飲食店サポート 
③レストラン経営
店舗『溶岩焼肉 徳志満』・『黒釜』 『近江牛専門精肉販売 牛肉商徳志満』
URLhttp://www.tokushima-co.jp/


滋賀県内で焼き肉店・レストラン・精肉販売店を経営し、飲食店のコンサルティングも手掛けておられる『株式会社徳志満』の、りつ子社長に創業から現在までの経緯や商品へのこだわり、社員様へのメッセージをお話して頂きました!


◆ 市場内の3坪の精肉店から近江牛専門店へ ~「肉の目利き」になる!~
初めて店舗を持ったのは、京都の市場内の精肉店でした。ある日、お客様が私を指名して、「あの人に選んでもらったお肉は美味しい。あの人に選んでもらいたい!」と仰ったんです。指名されるとお客様を裏切れないという思いから、より一層の勉強を重ねていき、お肉の目利きとなりました。少しずつ自分のお客様が増え、それが自分のプライドに繋がり、生まれ育った滋賀県で精肉店を開業するための資金を蓄えました。
そして、滋賀県といえば近江牛!近江牛のプロフェッショナルとなり、近江牛一本で行こうと決めました。


商品のこだわり ~大切な方へのギフトや、ハレの日のためのお肉~
牛を肥育する際に、通常は26か月から28か月で出荷するのですが、当社では、30か月から36か月かけて、肉を熟成させてから出荷しています。当社の商品は日常のおかずに使う肉ではなく、ギフトの位置づけでなんです。贈られた人が食べた瞬間、お肉に魅了され、また別の方へギフトとして贈ったり、自宅でのハレの日に購入いただける、そんな商品づくりを行っています。
また、お肉の味は見た目では判断しにくいことも少なくありません。肉や骨を触っただけで味を判断できる目利き力も必要です。目利き力を養うために、わざわざ枝肉を仕入れて加工を行うこともあります。「徳志満のお肉は裏切らない」というお客様からの期待を決して裏切らない、という事を肥育、商品づくりにおいて重要視しています。


私たちの使命 ~お肉を隅から隅まで出世させる!~
牛にとって、本当に喜ばしいことは、「美味しい」と思って食べてもらうことだという想いがあります。美味しいお肉は、どの部位を使っても美味しく食べることができるんです。例えば切れ端であっても、近江牛の旨みがでたお出汁をとって商品を開発すれば、お客様に喜んでもらえる商品となります。
また、「すじ肉」は重力の関係で変色してしまいますが、調理方法を工夫すれば、他の部位にも負けない人気の高付加価値商品となります。当社では、ボイルしたすじ肉を缶詰にして販売していますが、お肉のことを知り尽くしている我々だから提案できる商品であると思っています。
“お肉を隅から隅まで出世させてあげる”ことで、結果、牛にとっても、お客様にとっても、喜ばれることになる。牛から頂いた命を、感謝して、どの部位も残さず、美味しく、喜んで頂ける商品にするのが私たちの使命です。


◆ 先を読む ~世の中の変化に合わせた肉屋の在り方~
現在の場所に精肉店を開業した頃、駅からも遠く離れ、近くに人集まる商業施設等も無い場所にポツンと店舗を構える事に、周囲からは不安の声もありました。しかし当時はバブル期で周辺にどんどん住宅が建ち、人口が増えていく事を予測していましたから、自分たちの頑張り次第で地域に愛される精肉店になれる、と思い、もう一人の代表取締役である夫と二人三脚で取り組みました。夫の肉の加工技術にも随分助けられました。そして地域の人口の増加とともに、焼き肉店も始めたんです。
しかし、次はその世代の子供達が町を出て行って人口が減る事を考えなくてはいけません。それを見越して通販事業を始めました。
また今後はオーガニックや、自宅では再現し辛いプロの技術にお金を出す時代になると思い、デリの商品を充実させるために食肉製品加工業の許認可を5年前に取得しました。
この免許がある事でローストビーフ等の加工も可能となり、選定の厳しい百貨店の基準をクリアする事に繋がりました。近年の新型コロナの影響で焼き肉店やレストランは打撃を受けましたが、こうして常に先を読んで事業を展開してきたおかげで、一日も休業する事なく営業する事が出来ています。


◆ 社員へのメッセージ ~その仕事、最善を尽くせましたか?~
次世代を担う正社員、事務スタッフ、パート、アルバイト、全スタッフの頑張りが徳志満を支えてくれている事に、常に感謝しています。
「感謝」の気持ちは創業以来、ずっと大切にしてきたことです。この気持ちを持つことで、お客様をはじめ、仕入先などの取引先、同業者、社員に、その気持ちが伝わると思っています。例えば、見積依頼に応じたが失注してしまうこともあります。そんな時でも、「チャンス」を与えてくれたことに「感謝」します。またレストランから、ブランド戦略やマーケティング戦略を教えてほしいという依頼も少なくありません。そうした依頼に対して、「当社と取引の有無」、「有名店か否か」で判断していません。そのような機会を与えてもらったことに「感謝」しています。直近の依頼は当社と取引のないお料理屋さんからの依頼でした。近江牛を使ったブランディング事業をやりたいということで、コンサルティングをさせて頂きました。今は、料理屋が選定基準を設け、その基準に合致する産地牛をブランド牛として売る時代です。近江牛が社会に貢献できる事業であり、「感謝」してお引き受けしました。目先の損得勘定だけで判断するのではなく、長い視点で考えることが大切です。儲かるからやるのではなく、最善を尽くしたかどうかが問われます。最善を尽くせる機会を与えてくれたことに「感謝」するんです。だから私は常に自分自身にも、社員にも問い続けたいと思います。
「その仕事、最善を尽くせましたか?」