<東京カートグラフィック株式会社 代表取締役社長 西山 和輔 氏> 2022.11月号 掲載

企業名鑑
“従業員の幸せ。 そのために全社一丸となって唯一無二の『智図』 を創る会社を目指します”


会社プロフィール
会社名 東京カートグラフィック株式会社
代表者氏名西山 和輔 氏
創業1960(昭和35)年9月
本社所在地東京都杉並区天沼2-4-4 荻窪SYビル
事業内容空間情報を総合的に管理・加工し、視覚的に表示する地理情報システムの開発、地籍図レベルから地球地図データまで、さまざまな用途に適した地図データの作成等
URLhttps://www.tcgmap.jp/


◆ 事業の内容を教えていただけますか。
当社の事業をひと言で表すと、地図と空間情報の地図IT表現企業です。 地図データを様々なかたちに加工し、IT技術とデザイン力によって行政や一般企業の方々などに向けて地図ソリューションを提供しています。 創業者である私の父が戦後に米国極東陸軍地図局で、地図調製技術を身に付け、昭和35年に現在の会社を設立しました。以降、国土交通省国土地理院の基本図製作の業務に参画させていただくようになりました。
最近では、アナログだった技術がデジタル化され、表現媒体もIT化され、世の中は急速に変化しております。しかし、道具がいかに進化しようとも根底にある「手造りでお客様にご満足をお届けするクラフトマンシップ(職人、技術者としての気概や誇り)の思い」に変わりはありません。
また、「地図ってこんなに面白いんだ」と、地図の魅力をより多くの方々に知っていただくために、地図商品(グッズ)の企画製作・販売など新たな取り組みにもチャレンジしています。


◆ 経営理念の中にある「智図」とはどんな意味があるのですか。
「智図」の「智」とは智恵、知恵の「智」のことを言います。地上の情報をただ羅列しただけの「地図」は「智図」とはほど遠いと考えていて、ユーザーの心に何かを訴える地図を目指します。 「地図」を「智図」に結びつけるためには「想い」と「心」が必要で、たとえば、注記文字の配置場所から採用する情報の選別やその表現方法まで「想い」をもった人が「心」をこめて情報を紡いだときにはじめて「智図」を作ることができると考えています。そんな感性あふれる「智図」で、より豊かな暮らしと社会、ひいては地球の未来のためにお役に立ちたいと当社は考えています。


◆ 智図に関連した会社の特徴的なサービスなどありますか。
おもしろいものでは、地図のおもしろさを子供たちにわかってもらえるように学校などでさまざまな体験をしてもらえるように「ディレクティングマップ」という事業を始めています。 お笑い芸人で8年間ほど活動した経歴をもつ当社社員が、この事業を立ち上げ、自ら「地図地理エンタメプロデューサー」として、さまざまな地図に関連するイベントの企画運営に当たっています。 例えば、以下のようなものがあります。
①自分の身近なまちに何があるかを地図に書き込んで、オリジナルのガイドマップを作る
②江戸時代に日本地図を作った伊能忠敬がどのような方法で地図をつくったかを実際に体験してもらう
③さまざまな災害のリスクの情報を掲載しているハザードマップを使って、 ハザード情報を点数化したゲームを使うことで、地図と災害に関心をもってもらう ホームページも立ち上げていますので、ご興味のある方は、是非読んでいただきたいですね。
<https://directing-a-map.com/>


◆ 最近では、「智図」のほかに地図商品(グッズ)も 手がけておられるということですが、どんなものがあるのですか。
もちろん、地図に関連した商品は多数ありますが、ノートや下敷き、クリアファイルといった文具ほか、ブックカバー、ハンカチ、レジャーシートといった商品も多数揃えています。また、10月からは東京近郊の鉄道路線図の絵柄のトートバッグとポーチ発売しました。これらはラミネート加工を施しているので、防水性に優れ、汚れが付きにくいです。型崩れしにくく、シワにもなりにくいため路線図がハッキリ読み取れます。鉄道旅行のお供にお使いいただけるものと考えています。


◆ 経営理念に「従業員の幸せ」とありますが。
私は、従業員の幸せがあって、お客様にいい製品、いいソリューションをご提供できると考えていますので、従業員が幸せであることを第一に考えています。 また、従業員の誰もが、私とは比べものにならないほど地図に懸ける情熱を持っていますからアイデアはいっぱい出てきます。全部を叶えることはできませんが、みんなの持っている想いやパワーを生かして、形のあるものしていき、働きがいのある会社にしたいですね。
【オフィスの風景】 また、それぞれの従業員の評価は、毎年各自で評価シートに成果を記入してもらい、それに対して所属長の意見を聞いて決定しています。 その結果は所属長を通じて従業員にフィードバックして次期以降のモチベーションにしてもらっています。 このほか、今年労働基準監督署の調査を受けて、指摘事項もあり、それに対しての是正の報告をしましたが、その際に、「健康経営優良法人」を取得していること、生産性向上の小集団活動(グループ活動)を行って、残業時間の削減や社内の活性化を図っていることなども説明しました。 そうしたところ、管轄の新宿労働基準監督署から安全衛生管理活動が優良である会社を表彰する「新宿労働基準監督署長表彰」をいただけることになりました。 これからも、従業員に働きやすい、また働き甲斐のある会社にしていきたいですね。


◆ 今後のビジョンをお聞かせください。
当社は、「3か年 新中期経営計画2022」の3年目に入り、「地図ITに強い」「基盤技術とITの融合」「アプリケーションの独自開発」の方針のもと、「防災・減災」「ITS(高度道路交通システム、カーナビゲーションなど)」「教育」 を重点事業3分野と位置付け持続的な成長を目指しています。 地図市場はデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速され、AI、ビッグデータ、画像処理等の情報技術の進化が地図ソリューションの新たな領域を拡大し、これまでの地図ビジネスの概念を大きく変えつつあります。また、現在はカーナビゲーションシステムやスマホのアプリなど地図が非常に身近になってきていますので、これら地図市場を取り巻く社会の変革や情報技術の進化に機敏にチャレンジし、地図ソリューションビジネスの拡大に邁進していきます。


担当コンサルより<安田英樹>
私が、東京カートグラフィック様を担当させていただくようになって、まもなく7年になります。ご訪問のたびに社長をはじめ、幹部の方々からお話を聞かせていただく機会があり、会社の事業に対する熱意が伝わってきます。私自身、山登りを趣味としていますが、それには地図は欠かすことができません。現在ではスマホの地図上で現在地を把握でき、道迷いすることなく安全に登山ができるようになっていて、地図ソリューションの恩恵を直に感じています。今後さらに地図の重要性が高まっていくものと思いますので、私も微力ながら従業員様のより働きやすい環境づくりなどに精一杯サポートさせていただきます。