日本人の幸福感
ついこの間まで暖房を入れていたと思っていたら、あっという間に春が過ぎて暑い
夏がやってきました。昨年ほどではないですが、いよいよ本格的な夏の到来です。
私は小学生までは夏休みが来ることを心待ちにするごく普通の少年でしたが、社
会人になり、スーツ着用の世界が主体の生活となり、暑い夏はいつの頃からか苦手と
なり、敬遠するようになってきました。
昨年の暑さに比べれば今年は冷夏と言われていますが、どうも人間は暑い夏ほど
秋の涼しさを有難く感じ、冬が寒いほど春の暖かさを有難いと感じるようです。
地球上のどの国よりも日本の四季は明確であり、だからこそ日本人は季節の変動を
有難いと感じるのでしょうか。
暑い国、寒い国など、多くの国を訪問していますが、私はその度ごとに日本に生ま
れたことに感謝の気持ちを覚えます。先般、ふと思ったのですが、我が国に住む人々
は、この恵まれた環境に感謝する気持ちが、どこの国に住む人々よりも大きいのでは
ないのかということです。
『有難い!』という言葉は、室町期までは神様にのみ掲げる、非常にエネルギーの強
い言葉であったと聞いたことがあります。 我々はこの『有難い』を日常で使っていま
す。 この『有難い(う)』の多い家庭や会社は繁栄するという法則は、私がこれまでお
会いした6000社近くの経営者の方々や、面談させていただいた数万人の方々を通じ
て教えていただきました。
恐らく我が国に住む人々は、この明確な四季によって、毎シーズン、『有難い!』と
いう感謝の心と、『幸せ!』という幸福感を心に刻んでいるのではないでしょうか。
その言葉のエネルギーが、世界中で一番充満している国が日本のような気がしま
す。
私は幼少より体が弱く、また骨折5回、松葉杖生活も数ヶ月、武道での怪我や交通
事故などの怪我、病気による手術等で、全身を数十針縫っています。そこから回復す
るたびに健康であることの幸せを実感するという経験を重ねてきました。 特に癌を
経験した8年前からは、『生きているだけで丸儲け』を実感してきた次第です。
大学生の時にニュージーランドを一人旅した際、北島の北端にあるカイタイアとい
う町で、知り合ったドイツ人、スウェーデン人の人たちと海水浴をしたことがあります
が、北海道の余市の海岸で泳いだときよりも海水温が冷たく、流石に殆ど海に入れま
せんでした。外人たちは喜んで冷水につかり、大はしゃぎであったことを、大学に帰っ
て、当時の英会話のジョイス先生にお伝えしたところ、先生から、「日本人は世界で一
番素晴らしい国に住んでいることに気づいていないようですね」と優しく諭されました。
非常に印象に残る会話であったことを覚えています。
日本に住めることが本当に有難いことであることをもっと実感していくこと、そしてそのことを子孫に伝えていくことが、我々の務めであるような気がします