マスコミに左右されない21世紀の労働者のあるべき姿とは
最近よくマスコミで話題になる「貧困率」についてですが、我が国は相対貧困率で世界第2 位と非常に貧困化が進んでいるとのこと。
貧困率は年収の中央値を基準に判断されるので、所得格差の小さい我が国ではどうしても 貧困率は高くなるらしいのです。 ところが見方を変え、他のデータを引用すると、我が国の最も貧しい10%層では年収平均 13,000ドルで、世界第3位となります。
研究家によれば、我が国は格差拡大どころか、貧困層を人口の4~5%にまで絞り込む唯一 の国ということになります。
また、サービス業が主体の国では所得格差が拡大することは当たり前であり、大切な“もの づくり”を、中国をはじめ他国に依存しつつある我が国においては、相対的な地位を確保する ために、対策を先手・先手で講じる必要があります。
そのような先行き予測の中で、今後の企業における社員評価制度の基準(給料維持の条 件)を考えると、労働品質の向上が必要絶対条件となります。 時代が一層のスピード化・高度化していく中、労働者の発想の多くは、『昨年と同じ仕事を しているのだから同じ給料が欲しい。或いは同じ給料が当然』となるのが一般的な傾向です。 ところが、時代は望むと望まざるとにかかわらず急激に変化しており、現状維持は相対的に、 労働品質の低下に通じます。
1インチ1万円と云われていた液晶テレビが、それこそ「あっ」という間に1インチ3,000円に なってしまいました。(2012年現在では到頭1,000円を割りました。) 努力指数の積み重ねが 給料の“アップ”ではなく“維持”にしかならない時代となってきました。
レジ打ちはPOSに、単純事務はコンピューターに、高度な翻訳はシステムに、小売りはネ ット販売に、入力作業はインターネットを通じ海外に移転或いは取って代わられ、国内の労働 の質の一層の高度化が求められる時代となってきました。 もはや単純な作業がマーケットから評価されなくなってきました。 ワーキングプアということばも一時期ほどではないですが、よくマスコミでとりあげられます。 このワーキングプアの現象は、高度な専門分野では起こりません。 そういう意味で、21世紀に求められる労働品質のモデルは、通常の必要とされるスキルをベ ースに、+ オーダーメイドスキル(臨機応変度・付加価値度)となってきます。 常に基準は、 社員のレベル・スキル向上 ≧ 時代のスピード でなければなりません。 こ のことに早く気づいて、手を打つことができる企業が生き残っていきそうです。
これは9月号で申し上げた、70歳定年時代に求められる「プロフェッショナルレベル」のス キルとも共通します。 政治家も官僚もマスコミも早くこのことに気付き、資本家が悪いの、貧 困率がどうのと騒ぐのをやめ、国民を啓蒙すべきです。 世界基準で見た場合の、我が国の労働者の相対的スキルの向上なくして、「世界に冠たる経済大国」の地位は維持できないで しょう。 来年度は中国に抜かれ、このままいくといずれインド、ロシア、ブラジルにもGDPは抜かれ ることになります。 そうならないよう、独自の技術・アイデア・付加価値で勝負していきたいも のですね。
(2009年11月/2012年5月改定)
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