年度更新について

query_builder 2023/03/10
社労士業務のワンポイント
令和5年度労働保険の年度更新期間は6月1日(木)~7月10日(月)です。 5月下旬には都道府県労働局から年度更新の申告書が送られてきます。 手続きが遅れると政府による労働保険料の認定決定が行われたり、追徴金が発生することがあるので早めに準備を進めましょう。
★年度更新とは
前年に納付した概算保険料と計算した確定保険料の差額を清算します。 合わせて今年度の概算保険料を納付します。年1回行うこの手続きが年度更新です。  概算保険料や確定保険料は、毎年4/1~翌年3/31(保険年度)を単位とし、全ての労働者(※雇用保険は被保険者)に支払われる賃金の総額にその事業の種類ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。
【手続きの流れ】
 ①対象者の確認 ②賃金の確認 ③申告書の作成 ④申告および納付
それぞれについて 対象者 詳しく見ていきましょう


対象者
労働保険、雇用保険それぞれの対象者を確認しましょう。  
<労働保険の対象者>
常用、アルバイトなど名称や雇用形態に関わらず、 労働の対象として賃金を受けるすべての方です。  
※代表権、執行権を有する役員は除きます。
(但し役員でも指揮命令をうけて労働し、 賃金を得ている方は労働保険の対象です)  
※出向者のうち出向受入者は対象です。  
<雇用保険の対象者>    
雇用保険の被保険者全て  
※出向者は給与が支給された会社側で対象です。


賃金
賃金として扱うものもあれば、役員報酬や出張旅費のように賃金としないものもありますので、1年度分の賃金台帳を用意して、事前によく確認しましょう。
○賃金とするもの   
労働の対象として支払う全てのもので、通勤手当を含みます。
○賃金としないもの  
役員報酬、慶弔金、出張旅費、休業補償費、傷病手当金、解雇予告手当など


申告書作成
【ステップ1】 
「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」の作成 集計表の左側が労災保険、右側が雇用保険の記載欄です。対象者の人数と賃金を集計します。
区分について
 

●労災保険●雇用保険
・常用労働者:常用労働者の他パート、アルバイトなど 名称を問わず雇用保険の被保険者となる方を含む。
・役員で労働者扱いの人:役員でも指揮命令をうけて 労働し賃金を得ている方は労働者扱いとなる。 出向受入者の方はここに含みます。
・臨時労働者:パート、アルバイトなど名称を問わず臨時労働者であり雇用保険被保険者ではない方。
(出向受入者の方はここに含みます。)
・常用労働者、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある方:
労災保険の常用労働者と同じ+賃金を支給している出向者はここに含みます。 ・役員で雇用保険の資格のある人:いわゆる兼務役員。
【ステップ2】 
「申告書」の記入 図の① 上記、確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表で集計した賃金合計額の千円未満を切捨て、申告書の確定保険料欄に転記します。


保険料率(図の➁)
<雇用保険料率> 
確定保険料の算定では、令和4年4月1日~9月30日、10月1日~令和5年3月31日のそれぞれで雇用保険料率が異なりますのでそれぞれの期間で計算し合算することになります。
     ※令和5年概算保険料の算定では、令和5年4月1日からの雇用保険料率で算定します。
〇雇用保険料率表
令和4年度 https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf
令和5年度 https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf
<労災保険料率>  
都道府県労働局から送られてきた年度更新の申告書に記載された料率です。
<図➀➁③


確定保険料、一般拠出金の計算 (図の③)
「ステップ1」で算出した賃金総額に保険料率を乗じて計算します。 計算結果の1円未満の端数は切捨てます。


納付回数、納付期限
<納付回数>
概算保険料総額が40万円以上(労災保険、雇用保険どちらかのみ成立している場合は20万円以上)の場合は3回に分けて納付(延納)することが出来ます。 延納するのであれば「延納の申請 納付回数」に3と記載します。
<保険料・一般拠出金の納期限>
納付回数1回の場合は、以下の表の全期が納付期限です。 延納の場合は、当年度の概算保険料を3回に分けて納付します(端数が出る場合は端数を第1期に加算)第1期には前年度の確定保険料の不足額+当年度の一般拠出金も納付します。


領収済通知書記載の注意
・金額の前に¥マークを記入(¥ではありません)  
・予め印字されている所在地・名称等は訂正しないでください。
記入を間違えた場合、訂正された領収済通知書(納付書)を使用することはできませんので、必ず新しいものを使用してください。
領収済通知書(納付書)は最寄りの労働基準監督署、労働局にあります。
・申告書・納付書は上下に繋がっていますので、切り離さず銀行などに提出して下さい。 切り離してしまった場合は、申告書のみを管轄の労働基準監督署または労働局に提出し、納付書は金融機関で納付してください。


提出先
上記の流れで作成した申告書に保険料を添えて、銀行、管轄の労働局又は労働基準監督署に提出します。(ふじ色と赤色で印刷してある申告書は労働局へ提出) 納付金額が無いときは、申告書のみを管轄の労働局又は労働基準監督署に提出します。


その他
・確定保険料が0円で、引き続き労働保険を継続する場合
今後の雇用見込みの賃金総額から概算保険料を算定して記載する必要があります。
(概算保険料が0円だと労働保険を継続できません。)
・会社の事業内容が変わり業種の変更があった場合
「労働保険名称、所在地等変更届」の提出が必要です。 管轄の労働基準監督署へお問い合わせください。
・充当後還付額が出る場合  
 申告済概算保険料額 ー 確定保険料額=充当額  
充当しきれず還付額が出た場合は、管轄の労働局・労働基準監督署に「労働保険料・一般拠出金還付請求書」を提出し、還付の請求を行います。

新年度を迎え入退社の手続きに追われ、気づいたら年度更新や算定の時期・・という会社様も多いかもしれません。早めに準備を進めて元気に乗り切りましょう!

<引用資料> 令和4年度労働保険 年度更新 申告書の書き方 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000923183.pdf

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