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query_builder 2024/04/10
社労士業務のワンポイント
算定基礎届(定時決定)とは、社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額が実際の報酬(給与)と大きな差が生じないように年に1回行われる標準報酬月額の見直しのことです。毎年同じ時期に定期に実施されることから「定時決定」と呼ばれています。ここで見直された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月までの各月に適用されます。今回は申請のポイントについて紹介していきます。


★標準報酬月額
標準報酬月額とは、毎月の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を計算する基礎となるものです。報酬は月給、日給、時間給、出来高給など、様々な種類があり、その月ごとに支給額も変わってくる場合があります。そのため毎月の給与額をもとに保険料を算出するのではなく、予め等級ごとに決められた「標準報酬月額」を用いて社会保険料の計算をすることで計算しやすくしています。

★定時決定のスケジュール

★算定基礎届の対象者
算定基礎の対象者は、7月1日時点で健康保険・厚生年金保険の被保険者であるすべての方が対象です。休職中であっても、被保険者の方は算定基礎届を提出する必要があります。また厚生年金保険の資格を喪失する70歳、健康保険の資格を喪失する75歳以上であっても、在職老齢年金の受給金額に影響するため、70歳以上被用者として、届け出の対象となります。
算定基礎届の対象となる方 対象から除かれる方
・育児休業中の方
・介護休業中の方
・病気療養中の方
・70歳以上の方
・出向中で給与支給されている方
・2か所以上の事業所に勤務されている方
・6月1日以降に資格取得した方
・6月30日以前に退職した方
・7月改定の月額変更届を提出する方
・8月または9月に随時改定が予定されている方
★報酬に含まれるもの
基本給、役職手当、職務手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当などのほか、現物支給など労働の対象として現金または現物で支給されるもの。

★報酬に含まれないもの
臨時で支給されるもの、年3回以下の賞与、見舞金、退職手当、出張旅費、交際費、慶弔見舞金、傷病手当金などのほか、現物支給される作業着や制服など。

★算定基礎届作成の手順
(1)4月、5月、6月に支払った報酬(給与)を確認

年3回以下支給される賞与などは報酬に含まれません。また3ヵ月、6ヵ月単位で購入した定期代については、その額をそれぞれの月数で割って1ヵ月当たりの額を算出し、各月の報酬に含めます。
(2)各月の報酬支払基礎日数を確認

対象となる4月、5月、6月の3ヵ月間は、いずれも支払い基礎日数が17日(※特定適用事業所などに勤務する短時間労働者は11日)以上あることが必要とされています。したがって17日(短時間労働者は11日)未満の月があればその月は対象から除外します。
3)3ヵ月分の平均額を算出する

① 支払基礎日数が3ヵ月すべて17日以上の場合 4月、5月、6月に支払われた報酬の合計額を歴日数で割った平均額が標準報酬月額となります。
② 支払基礎日数に17日未満の月があるとき 17日未満の月がある場合は、17日未満の月を除いて平均額を算出します。
③ 3ヵ月すべてが17日未満のとき 従前の標準報酬月額をそのまま9月以降の標準報酬月額として用います。
(4)保険料額表から等級を確認する

(3) で計算した平均額をもとに、都道府県別の標準報酬月額保険料額表で該当の等級を確認します。
(5)届出書に記入し年金事務所もしくは健康保険組合に申請を行います。


★算定基礎届作成時の注意点
算定基礎届を作成する際には、いくつか注意するポイントがあります。誤って申請すると修正して再度提出することになりますので、間違えないよう確認しながら進めてください。
Point 1給与が翌月払いの場合
標準報酬月額の支払基礎日数をカウントする場合、間違えやすいのがこのケースです。計算期間が3月の給与を4月に払う場合、4月の支払い 日数は30日ではなく、3月の報酬を計算する基礎日数となるので31日。 5月は30日、6月は31日となります。
Point 2昇給差額分が支給されたとき
さかのぼりで昇給があり、4月、5月、6月のいずれかの月にその差額支給があった場合、算定基礎届の対象月前の分の昇給差額分は、含まずに届出を行います。 例えば、5月に、3月、4月分の昇給差額(5,000円×2ヵ月分)が支払われた場合、3月分は算定基礎届の対象外なので対象月前の差額分(5,000円)を除いた額を5月の支給額とします。
Point 3給与の締日が変更になり支払基礎日数が増加したとき
超過分の報酬を除いて計算します。
例えば給与締日が4月に20日から25日に変更された場合、4月のみ3月21日~4月25日となるため、3月21日~3月25日の給与を除外し、3月26日~4月25日で算出された報酬を4月分の報酬とします。



★提出時期と提出先
提出期限 毎年7月10日(10日が土日の場合は、翌営業日)まで
提出先 管轄の年金事務センターまたは年金事務所へ提出 ※健康組合に加入している事業主の場合は、健康保険分の届出を健康保険組合へ、 厚生年金部分の届出を年金事務所へ提出することになります。
なお本稿は令和6年3月31日時点の情報を基に執筆しています。法改正等で内容が実際と異なる場合もありますので、詳しくは管轄の年金事務所や健康保険組合へお問い合わせください。



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