黒字廃業と人材の育成!
黒字廃業の企業が近年増加しているようです(次頁の第 1-2-11 図ご参照)。一説によると385 万社あるといわれている現実稼働している日本の企業数は、20年以内に200万社にまで減少すると言 われております。
「後継者もいないことだし、不透明な将来のことを考えたら、黒字のうちに廃業してしまおう・・・。」 が本音か もしれませんね。
もともと日本社会では「就職」ではなく、「就社」と言われており、特に大企業においてはこの考えが定着して います。欧米では職種給が一般的で、経理職の賃金相場、事務職の賃金相場はある程度一定化されてお り、どこの会社に転職しようと、本人のスキルに合わせた給与水準が保証されているケースが多く、結果的により 良い職場や業種にキャリアアップするという概念が定着化しています。
ところが日本では、就職した会社の給与水準に年収が左右されることが多く、現代社会のように先行きが不 透明な状況の中では、起業する人は少なく、公務員やサラリーマンの安定した就業環境から、敢えて独立をし てリスクを負う人は、家族の、特に配偶者の反対にあうことが多いようです。 また、不確実な将来のリスクを恐 れ、親の跡を継ぐ後継者の数や独立開業数は、少子化も相まって減少の傾向にあるようです。
起業や開業が停滞することに、政府もようやく焦りだしたようです。また最近では、ベンチャーキャピタルを立ち 上げて新規開業を金銭面でサポートすることや創業支援の相談窓口を開設するようになっていますが、その取 り組みは始まったばかりで、成果を上げるまでには少なくとも10年以上かかるでしょう。
今後、中小企業を活性化するためには設備投資は欠かせませんが、商品サイクルが短くなってきている現代 においては、リスクが高く、このことも後継者の確保にはマイナス要因の一つとなっています。
そのような中で最近の傾向として、事業承継のお悩み相談が急増しております。特に私の場合は、相談件 数の3割近くが事業承継がらみとなっています。
ご相談の際、私が最初にお伺いすることは、「会社の目的」です。その目的の中に、事業の存続の意義を語 っていただけるお客様、国家国益や社員の将来について語っていただけるお客様に対しては、積極的にお手伝 いさせていただくことにしています。会社を始めた以上は、また多くの社員を採用した以上、未来永劫、成長し ていっていただき、我が国の発展に寄与していただきたいとの考え方からです。
<社員の数の3倍の家族の、それこそ人生が、経営者の両肩に重くのしかかってくるのです>
そのことをご自覚いただいた上で、申し上げることは 「100年企業を目指してください・・・。」です。目標が 明確になってくると、現状のヒアリングを踏み込んで行わせていただきます。いい恰好して本音を語っていただけな いお客様の場合は、更に突っ込んで嘘偽りのない本音を語っていただきます。
後継者のいらっしゃる場合は簡単です。過去の決算書を拝見して、
① 金融機関 対策
② お客様 対策
③ 社員 対策
のシナリオを描きます。 上記3つをマイルストーンとして、今後何があっても経営者と後継者が最高の<“演技”(同じ方向へベク トル合わせ)>を行っていただきます。 そのために双方の「意思決定のポイント」と「魂の癖」を相互理解して いただきます。この2トップが迷わない自己を確立していただきますと、上記①~③は安心を感じ、当該会社の 安定を評価し、満足を覚え始めます。詳細はここではお伝え出来ませんが、このような流れで、覚悟を決めてい ただければ、比較的スムーズに人の承継は可能です。
その際、当該企業の独自の売り(USP:ユニーク・セールス・プロポジション/お客様がなぜその会社を 選択しているのかにフォーカス)を磨き、時代の変化に負けない、明るいビジョンを発信していくことを実行してい ただきます。
後はお金の承継を税理士さんと共に実施していくことでスムーズなバトンタッチが行えます。
ただ残念なことに、多くの企業、特に零細企業において、身内以外の人材(人財)の育成が出来ておらず、 問題を先送りにしているのが現状です。今多くの企業で最も大きな課題は、この人材(人財)の育成です。
一刻も早くこの点にお気づきいただき、改善をしていただくことができれば、まだまだ企業は成長していくことでしょう。
来年は<平成>から新しい年号に代わります。今時代の主役は昭和の世代から平成の世代へと移り変わ りつつあります。皆様におかれましては、是非勇気をもって新しい時代に向かって、変化に対応していっていただ きたいと思います。 ブレインをサプライさせていただきます。
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