規範作りの重要性!
過去に「海賊と呼ばれた男」のモデルになった大企業の関連会社のルール作りの お手伝いをしたことがあります。 その企業は創業者が素晴らしい方で、「社員は家族」 であり、「就業規則なし」、「出勤簿なし」、「定年なし」、「馘首(クビ)なし」、「労働組合 を作られるようであれば会社清算し社員に配分」などを掲げ、実行し、一騎当千の強 力な社員を育成し、日本の国益に多大な貢献をされ、発展してきました。 当社との 契約の前に、本体企業の人事部門から同社の就業規則を提示され(なんと数ページ しかありませんでした)、厳しい就業規則は当社グループには望ましくない旨の回答 をいただきました。 私の大学時代、親友の兄が同社の札幌支店に在籍していること から、同社の札幌の独身寮に3日ほど無料で宿泊させていただきましたが、石狩鍋を 食べさせていただいたり、イクラを好きなだけ食べさせていただいたりと、全く見ず知 らずの学生に対して本当に寮内の皆さんに親切にしていただいたことを記憶しており ます。当時損保会社に就職が決まっていましたが、出来ることならこのような社員さ んがいる会社で働きたいと思ったことを、昨日のことのように覚えています。 そのこ とを思い出しながらも、私は「御社の関連会社も、本社と同じ基準で採用されていま すか。関連会社の社員さんもすべて新卒で採用され、教育研修を実施しているので しょうか。」と質問させていただきました。 その後すぐに当社案が採用されました。 決断の速い会社でした。
私は普段厳しいルール作りをお勧めしている立場の人間ですが、本来はどの会社 も社員さんには方向性だけ示し、後は社員自身が判断して行動を起すことがベストと 考えております。 できればルールなどない方が望ましいです。 ただしその前提は、 社員全員が会社の方針や経営者のビジョンを十分理解し、その実行に向けて迷いが なく、情熱をもって行動することが前提となります。
価値観が多様化していて、時間経過が加速化している現代では、一般家庭におけ る親子のコミュニケーションが著しく減少し、時間は共有しているけれども、対面で価 値観を照らし合わせての会話時間も減少し、本来受けるべき躾(しつけ)も疎かな状 態で社会に出てきます。
従って、家庭で疎かになった社会人としての常識や躾を、会社で実施していかなけ ればならない時代となってきてしまったのです。 特に最近の労働者像で顕著になっ てきたのが、「損・得」の概念です。 この「損・得」の概念を強く持つ社員は労働問題 を起しやすい傾向があります。しかも厄介なことにそのような問題社員は客観的に自 己を見つめる訓練もできていない人が多く、話し合いも困難な人が多いようです。
私は全国各地に呼ばれて、人事労務関連のセミナーを実施しておりますが、上記のような問題(ブラック)社員対策、抑止策として、「未来型のルール作り」 を提唱してお ります。 入社のタイミングが最も効果的です。 どのような邪(よこしま)な心を持った 人でも、初対面や入社の際には本能的にその邪な心は封印してきます。 そのタイミ ングできっちりと 「ワクチンを注射」することで、多くの場合、その邪な心を押さえるこ とが出来るのです。
昨年暮れ頃から、景気が回復し、採用が困難になってきました。 そのような状況 下では「来た人は皆採用」 といった会社も出てきます。この採用が困難な状況下で フィルターにかからずに入社してきた社員の中に多くの問題(ブラック)社員が入り混 じっているのです。 そして好況下では余り問題が顕在化しませんが、不況になり、労 働条件を変えざるを得なくなるタイミングでウィルスが活動を開始し始めます。 経営 者、採用担当の皆さんは入社前のチェックを疎かにせず、入り口でウィルスの侵入を 阻止してください。 入口で手を抜くと、出口で10倍苦しみます。(10倍返しの法則と 呼びます)
是非下記の14のチェックを行って、良い人材採用をしてください。
最近⑬と⑭を追加しました。 本通信の4月号に掲載した 「きらきらネーム」 のチェ ックと、最近の、メールによる退職の意思表示の防止 です。前者は非常識社員やモ ンペ(モンスターペアレンツ)の突撃予防に役立ちます。 (きらきらネーム:黄熊(ぷ う)、泡姫(ありえる)、光宙(ピカチュウ)など通常読めない名前、非常識な名前)。 後 者は、いきなり、「今日付けで辞めさせていただきます。なお今後のお問い合わせは 弁護士を通じてください。直接のご連絡はお断りします。」 などのメールを送付してき て、一切の連絡を絶ち、権利のみを主張してくる社員対策です。
非常識なブラック社員によって会社をかき回されないための規範作りをご検討くださ い。
ルールは「厳しく作って、優しく運営」が基本です。