労務の寺子屋 ■労基署の立入検査について
新型コロナウィルスの影響により、ここ数年は行政の調査が比較的少なかったですが、令和4年度に入り、次第に活発化してきています。行政と一括りに言っても、年金事務所や労働局、税務署と様々ですが、今回は、『労働基準監督署』による立入調査について、その乗り切り方や是正勧告書の対応方法をご説明致します。
1.労基署の立入調査とは?
労基署の立入調査とは、「労働基準法」や「労働安全衛生法」など、企業に課される労働関係法をしっかり順守しているかを確認するための調査です。基本的には、労働基準監督官が企業を訪問し、書類(法定帳簿 等)のチェックやヒアリングを行いながら法律違反がないかを確認します。監督官には法律により、「強制的に会社に立入調査する権限」が与えられていますので、企業は調査を断ることはできません。
そのため、いつ調査が来ても問題が無いよう、普段から備えておくことが必要になります。
一口に立入調査といっても、そのキッカケにより以下の3種類に大別できま
| ① 定期監督 | 最も一般的な臨検監督。年度ごとに計画的に件数を決めて、任意に調査対象を決めて調査に入るケースです。 |
| ② 申告監督 | 労働者から申告(タレコミ)があった場合に入る調査です。「残業代等の賃金未払い」「不当解雇」に関する申告が多いです。 |
| ③ 災害時監督 | 労災申請があったことがきっかけとなって入る調査で、事故の原因究明や再発防止のために実施されます。 |
2.調査の流れ
労働基準監督署の立入調査の流れは、おおむね以下の通りです。
『電話・FAX・手紙・来訪』 ⇒ 『調査(立入・呼び出し)』 ⇒ 『是正勧告書等の交付』 ⇒ 『報告』 調査は基本的に労基署からの事前の連絡(電話・FAX・手紙)または来訪から始まります。そして、調査対象になったことを告げられ、監督官による確認の対象となる書類を準備するように要求されます。来訪の場合、急に言われて直ぐに準備できる書面ではないので、後日改めての調査を求めて差し支えございません。準備を指示される書類は、一般的に以下の通りです。
| 1.就業規則、賃金規程、その他(時間・休み・お金)に関する諸規程
2.『時間外労働・休日労働に関する協定届(いわゆる36協定)』、1年変形の協定届 3.直近3か月~1年間の出勤簿、タイムカード等の労働時間がわかるもの 4.上記期間の賃金台帳 5.年次有給休暇管理簿 6.労働条件通知書や雇用契約書 7.健康診断書 8.安全衛生管理体制に関する以下の書類 ・安全、衛生委員会の議事録 ・長時間労働者に対する医師の面談指導の制度及び実施状況の分かる書面 |
3.調査内容
事前に準備した前述の書類に沿って、調査・ヒアリングが行われます。調査内容は多岐に渡りますが、次の内容がほとんどです。
【1.賃金関連】
タイムカード(出勤簿)と賃金台帳を基に、賃金の計算方法を確認します。特に、最低賃金を下回っていないか、固定残業代の運用は正しいかの確認に焦点が当てられます。
【2.労働時間関連】
タイムカード(出勤簿)を基に、労働時間の集計方法や、長時間労働者が36協定に定める上限時間に抵触していないかの確認が行われます。始業・終業時の着替え時間や、運転手の待機時間、休憩時間、研修時間の取扱いについては、ヒアリングを含め詳細に確認されます。
【3. 労働条件通知書(雇用契約書)、届出書面関連】
労働者を雇用する際は、労働条件を書面で通知することが義務付けられています。また、『36協定』や『1年変形の協定届』『就業規則(10名以上の事業場)』については労基署への届出が必要で、労基署の届出印がない場合は是正勧告の対象になります。対応が未だの場合は、調査時までに準備すれば勧告を回避できますので、届出や雇用契約書の締結を諦めないで対応しましょう。
【4. 安全衛生管理体制関連(50名以上の事業場のみ)】
労働者50名以上の事業所では、衛生管理者や安全管理者、産業医などの選任が義務付けられています(10名以上でも安全衛生推進者の選任が必要)。また、長時間労働者に 対する医師の面談指導制度やストレスチェックの実施も義務付けられています。
4.是正勧告書・指導票の交付、報告書の提出
調査の結果、法令違反が見つかった場合は「是正勧告書」が交付されます。また、法令違反とまでは断定できないが、改善すべき項目がある場合は「指導票」により業務改善が指導されます。いずれの場合も、指定された期日までに『是正報告書』または『改善報告書』を監督署に提出して報告することが必要です。
万が一、提出期限を過ぎてしまいそうな場合は、必ず担当監督官に相談して期日を延ばしてもらいましょう。報告書を提出しない場合は、再調査(再監督)が入ることがありますし、無視により悪質と判断された場合は、企業名の公表や代表者の逮捕・送検になりかねませんので、必ず対応しましょう。
5.対応はブレイン・サプライへ
調査の対応は自社でも可能に思われがちですが、単に書類のチェックに留まらず、監督官は専門知識を武器に引っ掛けのような意地悪な質問をしてきます。質問の意図が分からず曖昧な回答をすると是正勧告が積み上がってしまい、報告に余計な時間と労力を費やすことになりかねません。調査に際しては手紙や来訪により予告がされますので、その時点でブレイン・サプライまでご連絡頂けましたら事前に書面や状況を確認し、指摘が予想される部分について対応してから調査に臨むことができ、時間や労力を最小限にできます。
冒頭でも触れましたように、今年度から調査が活発化しています。私の担当だけでも、今年の4月以降だけで4件の調査がありました。
対応は、専門のブレイン・サプライ コンサルタントにお任せください。
ARCHIVE
NEW
-
query_builder 2026/09/10
-
『事業承継について』
query_builder 2026/09/10 -
歴史から学ぶリーダーシップ⑤
query_builder 2026/09/10 -
「スタートアップ政策提言」から考える 中堅中小企業のビジネスチャンス
query_builder 2026/04/10 -
算定基礎届(定時決定)のポイント
query_builder 2026/04/10